ドキュメンタリー映画『未来の食卓』を観て②

未来の食卓

①の続き

一般農家の子どもが白血病や卵巣がんに侵されていることも語られている。

「農薬を調合するのも捲くのも全て夫がやってくれています。・・・でも調合は自宅の庭でしていて。。
・・・それが原因だったのかもしれません。。。」

子どもが白血病に侵された農家の奥さんが悲壮な顔で告白している。

ぶどうには約3万種類もの農薬が使われているそうだ。

ぶどう畑に農薬を捲いていたという農夫は
「ぶどう畑に農薬を捲いた後、8日間排尿できなくなるんだ。」

彼は精神病、不眠、各種の病気に悩まされ、農業を離れた。
そして、農薬を使っている一般農家では「精神病に侵されている人は多いよ。」と、
彼だけが決して特殊ではないことを語っていた。

農薬や化学肥料を使っている土地と農薬や化学肥料が3年以上使われていない土地の決定的な違いは、土壌のふかふかさ。

農薬が使われている土地は痩せて、シャベルをつきさしても全然ささらない。
痩せて、固くなった土は保水力も落ち、雨が降ったら畑には洪水のように水が流れ出す。

一方、有機農業を実践している土壌は肥えている。

土は黒々とし保水力に優れ、シャベルを突き刺すと何十センチも深く入り込む柔らかさ。
そのふかふかな柔らかい土にはミミズがいて、微生物が生息し養分が作られ、野菜や果実の木が根を広々と伸ばし充分に水や栄養分を吸い上げて育っていく。

土壌がこのように理想的な状態の時、”肥料”や”養分”、”水”さえも植物は不要であり、
自らの力ですくすくと立派に育ってゆくのである。

土が教えてくれる、決定的なこの“違い”

 

 

「成人の疾病の多くは、胎児期に由来する。」

胎児期に親が食べてきたものや産まれてから与えられてきた食べ物からの毒が原因で、
今の子どもたちは親世代と比べてみても、健康を害する確率が非常に高い。

費用の支出は健康には変えられないんだよ。
加熱は金がかかるからといって非加熱にした。その結果我々の血液に何が起こったかね?」
と、非加熱製剤による薬害について強く訴える老人。

「相談相手は自分の良心でしかない。」

 

日頃簡単に手を伸ばし使用しているものたち。
その代表は水だろう。

しかし現代の水には硝塩酸や殺虫剤、鉛が溶け込んでいる。

映画では、ヒトにとっての水の重要性も語られている。

フランスのガール川にかかっている水道橋ポン・デュ・ガール。
これは、「アビニョンの東にある水源地ユゼスから、50キロメートル離れたネマウスス、現在のニームまで水を引くために作られた」という。
あの時代に、それも50キロもかけて!!!

なぜそんな労力をかけてまで水を引いたか?

それというのも、水は生活水準を示す基準でもあり、
水は生命(いのち)だからだ。

いのちの水。
「水への敬意を忘れるな」
その深いメッセージが“ポン・デュ・ガール”からは発せられている。

 

現代の私たちが口にしているあらゆる食べ物が、
自分たちの子どもの健康を脅かしているという警告を与えた学者には、

「食べ物が本当に原因なのですか?」
「病気の発症率と食べ物の関連性を示す具体的なデータをもっと出してください。」

と、矢継ぎ早に質問が飛んできた。

質問の答えとしてその学者が返したのは、

「そんなことをしている時間はもう“ない”のですよ。」というwake-upコール。

 

子どもたちの”未来の食卓”。

それを作るのは、ひとりひとりの日々の生活における行動なのだ。

ドキュメンタリー映画『未来の食卓』を観て①

mirainoshokutaku

 

 

“あなたの「おいしい」、危なくありませんか?”

思わず ドキ!っとしてしまうほどストレートに入ってくる、この質問。

フランスの食育ドキュメンタリー映画『未来の食卓』のキャッチコピーである。

映画はまず、世界中からやって来た科学者や学者が出席する国際学会が行われている場面から始まる。

「皆さんの中で、自分自身や自分の家族もしくは親しい友人などで、癌にかかった人いますか?」

登壇しているアメリカ人の学者が会場にいるオーディエンスにそう質問を投げかけると、会場の80%が挙手をした。

「では、糖尿病を患っている人は?」
また、ほとんどの人が挙手。
「では、高血圧や心臓病を患ったという人がいる方は?」
また同じ。

「そのまま手を挙げながら、どうぞ周りを見渡してください。
この会場にいるほとんどの人が手をあげていますね。 これは正常だと思いますか?
私たちがどれほど“病気に侵されているか”
それを如実に物語ってくれているのが、この挙手の多さです。」

そう。何かが“狂っている”のだ。

同じ学者が続けて言う。
「全ての要因を考えてみても外的要因、特に、私たちが摂る食べ物の変化が強く影響していると考えます。
そして、このことから今の子どもたちは親世代と比べて健康的に長く生きられないと予想されます。」

狂っている何かとは、ずばり“食べ物”なのだ。

 

 

場面は変わって南フランスの片田舎。
のどかな田園風景が広がるバルジャック村にある小学校の給食が、ある日から“すべてオーガニック”になった。

「ママ、今日から給食は“オーガニック”だよ。」  「あぁ、そうだったわね。いってらっしゃい。」
という子どもと母親の登校中の会話。

親子の会話も、
「今日の給食は何が出たの?」

学校給食のオーガニック化を受けて、自分の家庭もオーガニックのものに変えたお母さん同士の会話も、
「オーガニックの方が初めは高いと思っていたけど、今の方が前と比べて厳選して買うでしょ?だから、必要な分だけ効率よく買っていて。無駄も出ないし気分がいいの。」

PTAの会合の時も、
「子どもがオーガニックの野菜のほうがおいしいと言います。」

校長も、
「オーガニックにしたからといって給食費はあげませんぞ!」

 

それまでただの空き地だった学校の庭に小さな畑ができ、子どもたちが野菜の種をまく。
やがて小さな芽が出て、その成長を子どもたちがノートに記録する。

「葉っぱの直径は2センチだ!」

②に続く・・・