ドキュメンタリー映画『未来の食卓』を観て①
“あなたの「おいしい」、危なくありませんか?”
思わず ドキ!っとしてしまうほどストレートに入ってくる、この質問。
フランスの食育ドキュメンタリー映画『未来の食卓』のキャッチコピーである。
映画はまず、世界中からやって来た科学者や学者が出席する国際学会が行われている場面から始まる。
「皆さんの中で、自分自身や自分の家族もしくは親しい友人などで、癌にかかった人いますか?」
登壇しているアメリカ人の学者が会場にいるオーディエンスにそう質問を投げかけると、会場の80%が挙手をした。
「では、糖尿病を患っている人は?」
また、ほとんどの人が挙手。
「では、高血圧や心臓病を患ったという人がいる方は?」
また同じ。
「そのまま手を挙げながら、どうぞ周りを見渡してください。
この会場にいるほとんどの人が手をあげていますね。 これは正常だと思いますか?
私たちがどれほど“病気に侵されているか”。
それを如実に物語ってくれているのが、この挙手の多さです。」
そう。何かが“狂っている”のだ。
同じ学者が続けて言う。
「全ての要因を考えてみても外的要因、特に、私たちが摂る食べ物の変化が強く影響していると考えます。
そして、このことから今の子どもたちは親世代と比べて健康的に長く生きられないと予想されます。」
狂っている何かとは、ずばり“食べ物”なのだ。
場面は変わって南フランスの片田舎。
のどかな田園風景が広がるバルジャック村にある小学校の給食が、ある日から“すべてオーガニック”になった。
「ママ、今日から給食は“オーガニック”だよ。」 「あぁ、そうだったわね。いってらっしゃい。」
という子どもと母親の登校中の会話。
親子の会話も、
「今日の給食は何が出たの?」
学校給食のオーガニック化を受けて、自分の家庭もオーガニックのものに変えたお母さん同士の会話も、
「オーガニックの方が初めは高いと思っていたけど、今の方が前と比べて厳選して買うでしょ?だから、必要な分だけ効率よく買っていて。無駄も出ないし気分がいいの。」
PTAの会合の時も、
「子どもがオーガニックの野菜のほうがおいしいと言います。」
校長も、
「オーガニックにしたからといって給食費はあげませんぞ!」
それまでただの空き地だった学校の庭に小さな畑ができ、子どもたちが野菜の種をまく。
やがて小さな芽が出て、その成長を子どもたちがノートに記録する。
「葉っぱの直径は2センチだ!」
②に続く・・・